子育てや育児についての悩みをお聞きしています。

妊娠・出産について

妊娠・出産について

■胎児の発育

 胎児の身長は妊娠初期から伸びるが特に3~5ヶ月ごろまでに顕著に伸びます。その頃は月に平均5cm伸びるといわれています。体に比べ頭部の占める割合が大きく、体重は妊娠後半期に増加し、出産前の2ヶ月半が顕著でおよそ月に700gづつ増えます。その頃の胎児は皮下脂肪がつきふっくらとしてきます。

■胎児の能力
  生後間もない赤ちゃんに見る、聴く、味わうなどの感覚能力が備わっていることはさまざまな実験で明らかであす。こうした五感の能力はそれぞれすでに胎児期に出来上がっています。

○1視覚
眼瞼の開く6ヶ月には光を感じ明るさに反応します。出産時、分娩室の照明は明るすぎて赤ちゃんはしばらく目を閉じています。照明は薄暗い方がはやく目を開けます。

○2聴覚
6ヶ月にははっきり音を聞くことが出来ます。父や母の声を聞いて記憶もできます。

○3嗅覚
匂いをかぎ分ける能力はあるが、空気中の匂いの原因になる微粒子が関係しているので、生まれてから嗅覚を発揮します。赤ちゃんは母の体臭をかぎ分けます。

○4味覚
5ヶ月から羊水を飲んでいます。羊水に甘味や苦味を加えると胎児の心拍数や胎動が変化することがわかっています。

○5触覚
6週目から8週目の胎児は接触に反応します。痛覚、温度感覚は8ヶ月でできあがります。羊水穿刺で誤って胎児の皮フに針が刺さると胎児心拍数が上がります。6ヶ月から吸啜(きゅうてつ)運動があり生まれたばかりの赤ちゃんの口唇や指に“吸いダコ”のみられることがあります。

■妊娠中の注意

○1保温
流早産予防のため、特に下半身は冷やさないようにしましょう。ソックスや暖かい下着の着用をお勧めします。夏場でも体を冷やさないように配慮しましょう。“頭寒足熱”で。

○2食事
和食中心の食事が良いでしょう。妊娠中は貧血になりやすいので鉄分の多く含む食品を選び、産後授乳期間はカルシウム(Ca)が不足しがちなのでCaを含む食品をしっかりとることを心がけましょう。
海藻類は妊娠中毒症の予防になるのでできれば毎日とりましょう。
また、嗜好品の酒やタバコの喫煙は母体と胎児に悪い影響を与えるので避けます。

○3運動
安産のために日常生活の中でできる運動をしましょう。
妊婦の急激な体重増加は難産になりやすいので手軽に出来る運動を心がけ、妊娠中の体重増加は8kgまでを目安にします。

■出産

1 安産をするために

○1痛みの閾値(いきち)を上げる。
妊娠中に胎児、出産、赤ちゃんの姿のプラスイメージをたくさん作り母性を育てます。

○2主体的な意識でお産に臨む。
「私が産む。お産は私と赤ちゃんの共同作業である」と自覚しましょう。

○3リラックスしてお産んに臨む。
深呼吸、入浴、足浴、音楽、マッサージなどを利用して、副交感神経を優位に働かせましょう。

2 「愛着」の時期
  産後約30分間、赤ちゃんは覚醒状態にあります。また産後1~2時間は親子の愛着の深まる時期であり、親子が一緒にゆったりとした時をすごすのが良いといわれます。
  出産直後にカンガルーケア(母親の胸に赤ちゃんを裸のまま抱かせる)をする施設が増えています。
  「今回生まれてすぐに抱っこして過ごした時間がとても幸せでした。安心できてうれしいひと時で、愛情がフツフツと沸いてきていとおしい気持ちで一杯になりました。これからの子育てで何があってもこのときのことを思い出して乗り越えていけると思います」(カンガルーケア体験者より)

4 マタニティブルー
  産褥早期の一過性の気分と体調の障害です。産後1ヶ月までの間、特に産後2~3日までの母乳の出なくて辛い時期と産後1~2週間目の不安がピークに達する時期におきやすいですが、自然に回復します。マタニティブルーになるかどうかは本人の性格、周囲のサポート状況、生活環境の影響などを受けやすいといわれています。
主な症状としては、涙もろさ、情緒不安定、抑うつ気分(憂うつ)、不安感、睡眠障害、頭痛、食欲不振など。
対応としては心身の十分な休息をとりましょう。

■母子相互作用と脳
1 五感を介しての母子相互作用
  出産直後より赤ちゃんは体全体ですべての五感を使って外界を知ろうとしています。従来考えられてきたような受動的な存在ではなく、能動的な存在です。例を挙げると授乳中の赤ちゃんは途中で飲むのをやめることがあります。そのときに母親が「あらあらどうしたの?もう少しおっぱいを飲もうね」と声を掛けたり、ほほを指でつついたり、笑いかけたりすると、赤ちゃんは再びおっぱいを飲み始めます。これは赤ちゃんがおっぱいを吸うだけでは満足せず、授乳時間でさえも母親の自分への関心を引き出そうとする行為だといわれています。このように乳幼児期には見つめ合う、授乳、抱っこなどの五感を介した親子のスキンシップ・コミュニケーションを充分に持つことが大事です。